スライスに悩む人のゴルフグローブおすすめ比較!93モデルから選ぶ最強の1枚
「力を抜いて振っていい」と思えた瞬間から、右へのミスは減り始めます
スライス対策のグローブ選びで最初に捨てるべきなのは、「とにかく滑らない一枚を探す」という発想です。スライスはインパクトで、振っている軌道に対してフェースが開いて当たることで出ます。グローブがその手前で触れられる場所はひとつしかありません。握る力です。強く握るほど前腕と手首はこわばり、ヘッドが返らないままボールに当たります。そして人が強く握ってしまうのは、たいてい「滑る」と感じた瞬間です。
だから選ぶ基準は、「グリップ力が高い製品」ではなく「弱く握ったままクラブが保持される状態」になります。この状態が手に入ると、ティーグラウンドで意識して力を抜かなくても勝手に握力が下がります。振っている最中にクラブが手の中で回らなくなります。18番でも1番と同じ握りのままでいられます。握り込む理由が消えれば、フェースを返す余地が生まれます。
そしてもうひとつ、原因がそもそも手首にある人がいます。トップで左手首が甲側に折れていると、どのグローブを買っても何も変わりません。これは分けて考えたほうが早いので、4つめの基準として切り分けます。
先に正直なところを書いておくと、グローブが球筋を直すとは書きません。グローブについて語られる言葉は、握った感触と滑る滑らないにほぼ集中します。球が曲がらなくなったところまで踏み込んで語られることは、まずありません。グローブが確実に届くのは「握りがどうなるか」までで、その先は自分のスイングの領分です。ただし、握りが変われば入口は開きます。
選ぶときに見る4つのこと
軸1|クラブが手の中で動かないこと(滑り・ズレ)
革とクラブの外側だけでなく、手と革の内側も滑らないか。汗・雨・摩耗で効果が消えないか。
おすすめはダンロップ スリクソン GGG-S028(約1,100円)。内側と外側の両方が滑らない、いちばん安く始められる一枚です。手汗がとにかく多い人には次善としてZEROFIT インスピレーショナル、雨と多湿に振り切るなら海外定番のフットジョイ レイングリップがあります。
軸2|弱く握れること(力み)
握力を上げずに保持できるか。摩擦で助けるのか、厚みでグリップを太くするのか。
おすすめはミズノ 強革0.8(約2,700円)。掌側0.8mmの厚い革が隙間を埋め、握る力そのものが減ります。摩擦で解きたいならミズノ ダブルグリップ 2024、3つの軸をまとめて底上げしたいならダンロップ XXIO ゼクシオ GGG-X020、競技に出ず握力が落ちてきたならキャスコ ゼウスインパクトという選択肢もあります。
軸3|握りが手のひらに落ちていないこと(掌底の消耗)
掌の下側、小指球やグリップエンドの当たる位置が減らないか。指が曲げやすいか。
おすすめはキャスコ タフフィットプラス(約1,300円)。何百球打っても掌底が減らない一枚です。摩擦も同時に欲しいなら次善としてフットジョイ ナノロックツアー。
軸4|トップで左手首が甲側に折れていないこと(手首)
グローブでは解けません。原因が手首かどうかを自分で判定できるかどうかです。
該当するのはミズノ リストナビ(約1,900円)だけです。ゴルフ規則には適合していない練習器具なので、競技に出る人は練習場専用として、私的なラウンドしかしない人は常用も可として選んでください。
そのうえで、総合の1枚は
ミズノ 強革0.8です。スライスにいちばん近い軸2(力み)で飛び抜けており、しかもその解き方が他のどの製品とも重なりません。摩擦を上げるのではなく、革の厚みでグリップを実質的に太くして、握る力を要らなくします。一度使うと「握力が減る」という感覚そのものを知ることになるので、以後のグローブ選びの基準が変わります。
ただし天然皮革なので、雨に濡らすと次のラウンドで硬くなります。晴天中心で、サイズを店頭などで確かめられる人にはこれが最短です。天候も季節も選ばず一枚で済ませたい人、通販でサイズを賭けたくない人は、軸1のGGG-S028から入ってください。どちらを先にしても、目指している状態は同じです。
4つの軸の考え方
軸1|クラブが手の中で動かないこと ― 「滑る」には二層あります
「滑る」と感じたとき、滑っている場所は二つあります。ひとつは革とクラブのグリップのあいだ、もうひとつは手と革のあいだです。手のひらに汗をかくと革の内側に水が溜まり、グローブごと手の中で回ります。外側の摩擦だけを強化した製品で評価が割れるのはこのためです。内側が滑ったままだと、どれだけ表面を粘らせても手の中のズレは止まりません。
濡れたときの挙動は、個人差ではなく素材で決まります。天然皮革は、濡れている最中ではなく乾いた後に硬くなります。メーカーの説明で「濡れても硬くなりにくい」と書かれていても矛盾はなく、問題が出るのは雨の当日ではなく、乾かした次のラウンドです。逆に極細繊維や起毛素材は、水を含んでも摩擦が落ちない、あるいは濡れたほうが効きます。シリコンを塗った製品だけは水の膜を挟むと一気に効かなくなるので、打つ前に表面を拭くという手順が性能の一部になります。
そして摩擦は時間とともに落ちていきます。この軸は「この製品なら滑らない」ではなく「この製品を良い状態で使えば滑らない」という、時間のついた基準だと考えてください。ただし落ち方は素材で違い、繊維系のなかには洗うと摩擦がかなり戻るものがあります。重視すべきなのは最大値ではなく、短い周期で替えられるか、あるいは洗って戻せるかのどちらかです。
最後に、摩擦はグローブ単独では決まりません。相手はクラブのゴムです。凹凸が残っているグリップには噛みますが、何年も替えずにツルツルになったグリップには、評判のいいグローブでも噛みません。同じ製品が人によって正反対の評価に分かれる原因の多くは、手ではなくクラブ側にあります。
軸2|弱く握れること ― 摩擦と厚み、二つの道があります
スライスにいちばん近いのがこの軸です。滑る感覚が握力を上げ、上がった握力が前腕の回旋と手首のリリースを止めます。フェースが返らないのはその結果です。逆にいえば、弱く握っても保持できる状態をつくれば、返す余地が物理的に戻ります。
弱く握れるようにする道は二つあり、まったく別物です。ひとつは摩擦で保持を助ける道。もうひとつは厚みでグリップを実質的に太くする道です。後者は、グリップの下巻きを一枚増やすのと同じことが手袋側で起きている状態で、手とクラブの隙間が埋まるため、握り込まなくてもクラブが手の中で動かなくなります。
ここで注意したいのは、薄さと脱力は別の話だということです。薄いグローブが与えてくれるのは手応えであって、脱力ではありません。ただし薄いから力が抜けない、という意味でもありません。薄くても摩擦が十分なら、軽く握るだけで持てるようになります。手応えは薄い側が、力の抜けやすさは厚い側が有利、という程度に捉えてください。
そして限界も先に書いておきます。この軸を満たしても、球筋が良くなる保証にはなりません。実際、グローブへの評価を横断して見ても、握りや滑りの変化を語る声は全体の1割を超えるのに対し、球筋やスコアにまで踏み込む声は1%に届きません。握りが軽くなったところまでが、グローブの届く範囲です。それでも、握力が下がらないかぎりフェースは返らないので、ここは通過しておく価値があります。
軸3|握りが手のひらに落ちていないこと ― 破れた場所が答えを知っています
この軸は自覚しにくいのですが、物証がはっきり残ります。掌の下側、小指球のふくらみやグリップエンドが当たる位置ばかりが薄くなって破れる人は、指ではなく手のひらで握っている可能性が高くなります。手のひらで握ると手首のコックとリリースが制限されるので、フェースが返りにくくなります。破れる場所は、握りの位置をうかがわせる記録です。
やっかいなのは、摩擦を上げるとこの軸が下がりやすいことです。掌の全面に滑り止めを敷いて厚みを足した製品は、手のひらで握る姿勢をそのまま固定する方向に働きます。指の関節に生地のシワが食い込んでマメができる、指が深く曲げられない、といった症状も同じ軸の裏返しです。ただし避けられない交換条件ではなく、掌底だけを厚くしたり補強を重ねたりして、摩擦と両立させている製品もあります。
なお、破れる場所が掌底から親指や指先に移ったとしても、それだけでは握りが変わった証拠にはなりません。掌底を補強した製品では、握り方が同じでも次に弱い場所から負けるからです。握りが変わったかどうかは、力を抜いたまま振れているかどうかで判断してください。逆に、どの製品を買っても同じ場所が同じ速さで減るなら、変えるべきなのはグローブではなく握り方かもしれません。この軸のおすすめは、そのどちらであっても消耗が止まる作りを選んでいます。
軸4|トップで左手首が甲側に折れていないこと ― グローブでは解けません
調べた範囲では、手首を拘束するゴルフグローブは見つかりませんでした。上位モデルはむしろ手首の可動域を広げる方向に作られています。つまり原因が手首の折れにある人は、グローブ売り場をいくら歩いても解決しません。ここだけは別のカテゴリの道具になります。
そしてこの軸の道具の本当の価値は、矯正ではなく切り分けにあります。着けてスイングして何も起きなければ、それは「自分の手首は原因ではない」という検査結果として読めます。何かに当たる感覚があれば、原因はそこにあります。この一点がはっきりするだけで、グローブに期待していい範囲が決まるので、遠回りがなくなります。
ただし、効くのは事前に自分の原因を手首だと見当づけている人だけです。何を抑えられているのか分からないまま着けても、感覚は信号になりません。レッスンや動画でトップの手首の形を指摘されたことがある、野球経験者で左手首の使い方に自覚がある、といった心当たりがあるかどうかが分かれ目になります。効き方は癖の深さにも左右され、浅い癖には勝ちますが、長年固まった癖には負けます。
おすすめ10モデルの詳細
各モデルの見出しの下にある数値は、ここで取り上げた10モデルのなかでの相対評価です。
軸1・滑り|ダンロップ スリクソン GGG-S028(1/10)― 内も外も滑らない、最も安く始められる一枚
約1,100円で、手とグローブのあいだも、グローブとクラブのあいだも滑らなくなる一枚です。まずここから始めれば、たいていの「滑るから握り込む」は止まります。
この一枚を着けると、夏の後半9ホールで握り替えを考えなくなります。掌に使われている極細繊維は、表面で摩擦をつくると同時に、汗を手のひら側から表面へ抜いているとみられます。グローブの内側が乾いたまま保たれるため、汗で手の中がぬるついてクラブが回る、という感覚そのものが起きません。滑る不安がないので、握力を上げる理由が消えます。
同じ軸のZEROFITとの違いは、乾いていても効くことです。ZEROFITは水分を吸って摩擦に変える作りなので、手汗をかかない人や乾いた季節には主機能が出ません。GGG-S028は濡れても乾いても摩擦が落ちにくく、そのぶん季節や体質を選ばずに使えます。全天候という言葉が最も素直に当てはまるのがこれです。
この製品の正体は、ブランドの製品というより素材メーカーの製品です。掌に使われている繊維は他社の上位モデルにも同じものが載っており、価格差はブランドと仕上げの差になります。ブランドで選ぶ必要がないぶん、同じ性能を安く買えるという位置づけです。店頭では手に入りにくい小さめのサイズまで揃うのも、実利のひとつです。
弱点は薄さと、寿命の短さです。手応えが物足りないという評価は一定数あり、厚手が好きな人には向きません。破れるのは掌底ではなく指先からで、長持ちするタイプでもありません。そして雨での優位は、摩耗していない状態を保てているあいだの話です。ただし1,100円という価格は、その条件を実行するためにあると考えたほうがよく、数枚まとめて短い周期で替える使い方が合っています。グリップの黒色が手のひら側に移るため、白を選ぶと見た目の寿命が先に来ます。
軸1・滑り|ZEROFIT インスピレーショナル(2/10)― 手汗が多い人だけ、ラウンド中の着け替えから解放される
手汗でグローブを何枚も持ち歩いてきた人が、1枚で18ホール回れるようになる一枚です。濡れるほど効くという、他とは逆の性質を持っています。
掌に使われているのは厚さ0.4mmの起毛素材で、水分を含むと毛が立って摩擦が出ます。だから汗をかくほど、雨が降るほどグリップが強くなります。本革が汗でぬるついてクラブが抜けそうになる、という悩みには最短で効きます。内側も滑らないので、グローブごと手の中で回ることもありません。
裏を返すと、乾いていると本領が出ません。ここがGGG-S028との決定的な違いです。手汗をかかない人、乾いた春秋にしか回らない人が着けても期待したほどの摩擦は出ず、思ったより滑るという印象になります。自分が汗をかくタイプかどうかで、向き不向きがきれいに分かれます。汗に悩んでいない人は、素直にGGG-S028を選んだほうが満足します。
この製品の正体は、口コミで広まって定着した定番品です。同じコースで仲間と重なることがあるほど普及しており、カラー展開が人と違う色を選ぶための選択肢として機能しています。性能で選ばれ、色は差別化で選ばれるという段階に入っている製品です。
弱点は薄さで、手のひらにマメができやすくなります。0.4mmは掌と生地のあいだのズレを緩衝しません。厚手から乗り換えると手のひらが痛くなることがあります。汚れて起毛が寝ると効きが落ちるので、洗って使う前提になります。個体によってはマジックテープの保持が弱く、スイング中に外れることがあります。伸び方に差があるためサイズの推奨が割れており、いつものサイズか、ワンサイズ下かは賭けになります。
軸1・滑り|フットジョイ レイングリップ(3/10)― 土砂降りでも抜けない、多湿地の常用グローブ
両手セットで約4,000円。雨の日にクラブがすっぽ抜ける恐怖から解放される一枚で、海外では雨具ではなく常用品として使われています。
掌のスエードは、濡らすと毛が立って摩擦が出る仕組みです。購入直後は少し滑る感じがあり、使い込んで毛が起きてから本領が出ます。濡れた状態でも、通常のグローブを乾いたグリップで使うときに近い安心感が得られます。
同じ濡れ対応でも、ZEROFITとの違いは両手であることです。左手だけ対策しても右手が滑れば結局は強く握ることになるので、左右を同条件に揃えられるのは理にかなっています。両手に着けることで右手の余計な力みが減るという使い方が定着しています。
この製品の正体は、雨具ではありません。高温多湿の地域で数ホールごとにグローブを交換していた層が、雨用として買ったものをそのまま毎回使うようになっています。日焼けによる左右の色差を避けたいという理由で両手化する使い方もあります。ゴルフの外にも、手汗で用具が滑る競技へ広く流出しています。
弱点は三つあります。まず、乾いた状態では上質な革に劣ります。次に、防水ではないので手そのものは濡れますし、冷たさを嫌う人には向きません。そして頻度が高い不満は性能ではなく流通で、両手セットのはずが片手しか届かない、開封済みが届くといった配送トラブルが目立ちます。日本語での使用報告がほとんどなく、日本の気候で同じ体験になるかは確かめきれていません。まずGGG-S028かZEROFITを試してから、それでも雨が課題として残る場合の選択肢と考えるのが安全です。
軸2・力み|ミズノ 強革0.8(4/10)― 総合1位。厚い革が隙間を埋め、握る力そのものが減る
この記事の総合1位です。掌側0.8mmという厚い羊革が手とクラブの隙間を埋め、摩擦に頼らずに「握らなくても持てる」状態をつくります。スライスに最も近い軸を、他とは別の原理で解いている一枚です。
着けて最初に気づくのは、いつもより軽く握っているのに手の中でクラブが動かないことです。厚みがあるぶん実質的にグリップが太くなり、グリップの下巻きを一枚増やしたのと同じ状態になります。太いグリップは手の中で回りにくく、指で支えるだけで保持できます。力を抜こうと意識する必要がなく、勝手に抜けるという順序になるのが、この製品の気持ちよさです。力んで握る癖があり、摩擦の強いグローブを何枚試しても変わらなかった人ほど違いが分かります。
摩擦で解く製品との違いは、効果が濡れや摩耗に左右されにくいことです。シリコンや起毛は表面の状態が性能を決めますが、厚みは減るまで変わりません。軸1で書いた「短い周期で替える」という考え方が、ここだけは当てはまりにくくなります。掌側に破損が出にくいのも厚みのおかげで、先に負けるのは甲側や親指のほうです。軸3の面でも掌を守ってくれます。
この製品の正体は、薄さを競う市場のなかで逆を行く異端の単品です。店頭で触ってから買う人が目立ち、通販だけでは価値が伝わりにくいタイプでもあります。安いグローブを何枚も買うより、これを1枚という置き換えが起きているのも特徴で、耐久性で選ばれている面があります。
弱点ははっきりしています。天然皮革なので雨に濡れると、乾いた後に硬くなります。濡らした次のラウンドで別物になるため、晴天専用と割り切る必要があります。そして厚い革はほとんど伸びません。サイズを外すと馴染ませて逃げることができず、きつければ親指の付け根が痛くなり、緩ければ意味がなくなります。可能なら店頭で一度はめてからのほうが確実です。握力が落ちている人は、太くなったぶん指が回しきれないことがあります。手応えは確実に減るので、インパクトの感触を重視する人には向きません。
軸2・力み|ミズノ ダブルグリップ 2024(5/10)― 摩擦で脱力させる側の代表。サイズが合わなかった人の最後の砦
約1,700円、3枚セットなら1枚あたりさらに安くなります。「しっかり握らないと不安」という感覚を、摩擦の側から消してくれる一枚です。
掌のシリコンプリントに加えて、グローブの内側にも滑り止めが入っているのがこの世代の要点です。外側でクラブを掴み、内側で手とのズレを止めるので、手の中でグローブごと回る現象が起きません。滑らないという確信が先に来るので、握る力を落としても平気になります。柔らかく握れるようになったという評価が、ここで扱ったモデルのなかでも特に集まっているのがこのモデルです。
強革0.8との違いは、経路が摩擦か寸法かという点です。厚みで解く強革0.8に対し、こちらは摩擦の総量で解きます。そのぶん薄く、手応えは残ります。晴天専用にせずに一年中使いたい人、手応えを捨てたくない人はこちらが合います。
この製品の正体は、グリップ力の製品というよりサイズの製品です。21cmから27cmまであり、さらに指先を短くしたモデルが用意されています。他社では指が余ってしまう人、標準サイズでは指が痛くなるほど手が大きい人が、ここに辿り着いて定着しています。たるみがないほど滑り止めは効くので、サイズが合うこと自体が性能に直結します。
弱点は掌底です。手のひらの下側、グリップエンドが当たる位置に補強がなく、ここから破けます。練習量が多い人だと数週間で穴が開くこともあります。掌の下側をいつも破いてきた人には向きません。厚みのせいで指の関節に生地のシワが食い込み、マメができる人もいます。そして雨では、表面に水の膜が残ると急に滑ります。打つ前にタオルで水気を拭き取るという手順を面倒に感じる人は、軸1のおすすめを選んだほうが確実です。
軸2・力み|ダンロップ XXIO ゼクシオ GGG-X020(6/10)― 素材ではなく配置で解く、三つの軸をまとめて底上げする構造
約1,400円。手の中のズレ、握る力、掌底の消耗という三つの問題を、それぞれ別の場所に手を入れて同時に解こうとしている構造です。ただしこの評価は構造から読み取った期待値で、使い込んだ先の裏づけはまだ足りていません。
特徴的なのは三層構造で、手に接する裏側に摩擦の強い素材を置いていることです。表面だけを強化する製品が多いなかで、手と革のあいだのズレを直接止めにいっています。さらに掌の小指側の下部、つまりグリップエンドが当たる位置を厚くし、親指の表面には別の加工が入っています。他のグローブで壊れる場所と、この製品が手を入れている場所が一致しているのは事実です。
力を抜いて打ってもクラブがズレない、という手応えは早い段階から語られています。ややタイトめの作りで、そのきつさがそのままフィット感に変わり、たるみが出ないので弱い握力でも保持が成立する、という理屈は通っています。薄い繊維系のグローブで手が痛くなった、保護がなさすぎると感じた、という理由で移ってくる使い方にも向きます。
他のおすすめとの違いは、一点突破ではないことです。GGG-S028は軸1に、強革0.8は軸2に、タフフィットプラスは軸3に振り切っていますが、これはどれも7.5以上という形で全体を持ち上げます。一枚で済ませたい人、どの軸が自分の問題か決めきれていない人には、この作りが合います。
最大の弱点は、確かめられていないことです。発売後の評価の蓄積が乏しく、耐久性や雨天での挙動を語る材料がほとんど出てきません。掌底を厚くした狙いが実際に効いているかどうかも、まだ確認できていません。サイズも小さめに出ます。確実性を求める人ではなく、1,400円なら外れても惜しくないと思える人に向いた選択肢です。
軸2・力み|キャスコ ゼウスインパクト ZI-1926(7/10)― ルール適合外。握力が落ちてきた人が、もう一度楽に振れる
約1,500円。ゴルフ規則に適合していないぶん摩擦量に制限がなく、握力が落ちて悩んでいる人には規則内の製品では届かない領域があります。競技に出ない人だけの選択肢です。
掌に車のタイヤのようなトレッドパターンのシリコン加工が入っていて、握力が落ちても楽にクラブを振れるようになります。年齢とともに左手の握力が弱ってきて、保持のために無駄な力を使っていた人が、その負担から降りられます。摩擦が強いぶん、打ち込んでもマメができにくいという副次的な効果も語られています。
他のおすすめにない強みは、クラブ側のグリップが劣化していても補ってくれることです。通常のグローブの摩擦はクラブのゴムの凹凸に依存しますが、この製品はその依存を減らすので、グリップ交換をしばらくしていないクラブでも成立します。
弱点の前に、制約を確認してください。公式競技では使えません。これは性能の問題ではなく、使える場所の問題です。そのうえで弱点はサイズで、一貫して大きめに出ます。いつものサイズで買うと緩くなり、掌にシワが寄って滑り止めの利点がそのまま消えます。必ずワンサイズ下を選んでください。なお、うたわれているグリップ性能の向上幅ほどの差は感じないという評価もあります。厚めなので薄いグローブから移ると違和感があり、手首まで長い作りのため、左手首に時計や距離計を着ける人には邪魔になります。両手着用が前提の設計なので、左右そろえたほうが本来の狙いに乗れます。
軸3・掌底|キャスコ タフフィットプラス(8/10)― 何百球打っても掌が減らない、買い替えの周期が止まる
約1,300円。毎回同じ場所を破いて買い替えてきた人にとって、その周期そのものが止まる一枚です。掌の下側が減らないことにかけては、ここで取り上げたなかで最も確かな製品です。
週に複数回、毎回数百球というペースで打っても、掌の当たり面が残ります。耐摩耗性の高い人工スエードを使っていて、しかも厚みで誤魔化していないのがこの製品の巧みなところです。普通なら千球前後で薄くなる位置が、そのまま持ちます。破れる代わりに表面の起毛がゆっくり減っていくという劣化の仕方をするので、ある日突然使えなくなることもありません。
摩擦を取りにいっていないことが、この製品の設計思想です。ほかのおすすめは、摩擦か厚みか配置のどこかでピークを出し、その代償として時間・濡れ・掌底のどれかを失います。これは最初から控えめな摩擦で、それを長く保ちます。摩耗して摩擦が落ち、また握り込んでしまうという悪循環を、入口ではなく出口側で止める考え方です。滑り止めのゴムが付いたグローブが雨で使い物にならなかった人が、こちらでは雨でも大きく変わらないと感じるのも、条件による振れ幅が小さいからです。
同じ軸のナノロックツアーとの違いは、摩擦を保つか抑えるかです。ナノロックツアーは摩擦を保ったまま丈夫という方向ですが、こちらは摩擦を抑えて長く一定という方向です。吸い付く感覚が欲しいならナノロックツアー、消耗を止めることが最優先ならこちらになります。
この製品の正体は、練習用として買われてラウンドに昇格するタイプの一枚です。普通はラウンド用が劣化して練習用に落ちていきますが、これは逆方向に流れています。0.5cm刻みのサイズと大きめの展開があり、サイズが見つからず海外から取り寄せていた層の受け皿にもなっています。サイズが合わないと生地が突っ張って破れるので、この耐久性の一部はサイズ展開が作っています。抗菌加工のおかげで臭わず、そのぶん捨てるタイミングが遅くなるのも実利です。
弱点は摩擦の絶対値です。全面ゴム加工の高グリップ品と比べると明確に劣り、期待していたほど効かなかったという評価もあります。雨では多少滑りますし、生地の起毛が減るのは思ったより早いという声もあります。滑る感覚そのものを直したい人には物足りないので、その場合はGGG-S028かZEROFITを先に試してください。
軸3・掌底|フットジョイ ナノロックツアー(9/10)― 摩擦を保ったまま壊れない、洗って何度も戻せる定番
数週間で破いていた人が、数か月同じ一枚で回れるようになります。軸1と軸3を同時に高い水準で満たす、ここで取り上げたなかで最もバランスの取れた一枚です。
それまで掌のグリップエンドが当たる位置を破いていた人が、握り方を変えないまま破れなくなる、という変化が起きます。極細繊維が摩耗に強く、掌底のせん断に耐えます。壊れるとしても掌ではなく、親指の先や人差し指、甲側の通気孔からです。掌底で受ける負担が減ったのか、単に他より丈夫なのかまでは分かりませんが、買い替えの間隔が延びるという結果は変わりません。
もうひとつの強みは、摩擦が戻ることです。汚れてグリップ力が落ちても、洗えばかなりの水準まで復帰します。だから数枚を回して、黒ずんできたら練習用に格下げするという運用が組めます。実際この製品は、摩耗ではなく汚れを理由に交換されています。性能寿命より見た目の寿命が先に来る、という珍しい消耗品です。
タフフィットプラスとの違いは、摩擦の水準です。こちらは濡れても効く強い摩擦を保ったまま丈夫なので、軸1と軸3を一枚で両取りしたい人に向きます。ただしその摩擦は、クラブのゴムを削りながら成立している面があります。
弱点は二つあり、どちらも条件の形をしています。ひとつは乾燥時で、汗も雨もない状態では密着感が落ちます。冬場は別のグローブと使い分けている人が少なくありません。もうひとつはクラブ側で、表面が劣化してツルツルになったグリップに対しては噛まずに滑ります。グリップを何年も替えていない人は、先にそちらを替えてください。黒は濡れると色落ちします。
軸4・手首|ミズノ リストナビ(10/10)― グローブ選びの迷走を終わらせる、原因の切り分け
約1,900円。グローブではなく手首に巻く練習器具です。調べた範囲では、この軸に該当する製品は他に見つかりませんでした。ゴルフ規則には適合していないので、競技に出る人は練習場専用として使ってください。
この道具のいちばんの価値は、矯正ではなく切り分けにあります。着けてスイングして、トップで何も当たる感覚がなければ、手首は原因ではないと考えられます。それが分かるだけで、以後グローブに期待していい範囲が決まります。逆に当たる感覚があれば、そこが原因です。何枚もグローブを買い替えて何も変わらなかった人ほど、先にこれを一度通しておく意味があります。
そして原因が手首だった人には、はっきりした変化が出ます。トップで左手首が甲側に折れると、クラブが外から入ってフェースが開きます。甲側のプレートがその動きの端で当たり、折れた瞬間を感覚で返してくれるので、意識ではなく身体で覚え直せます。右へのミスが減って真っ直ぐかドロー側に出るようになったという変化が語られるのは、ここで取り上げたなかではこの道具だけです。
効くかどうかを決めるのは、製品の硬さではなく、着ける前の心当たりです。レッスンや動画でトップの手首を指摘されたことがある、野球経験があって左手首の使い方に自覚がある、といった下地がある人には効きます。逆に、何を抑えられているのか分からないまま着けると感覚が信号にならず、何も起きません。効きは癖の深さにも左右され、ゴルフ歴が浅い人や他競技からの転向組には勝ちますが、長年固まった癖には負けることがあります。強く固定して矯正する器具ではなく、正しい位置に保つのを助ける程度の硬さである点は、買う前に知っておいてください。
この道具の正体は、半分は手首サポーターです。腱鞘炎の予防や手首の痛みをかばう目的で買っている層が相当数いて、その人たちの満足度は高い傾向があります。球という不確かな出力を経由せず、固定されるかどうかだけで判断できるからです。スイングの矯正に使うか、手首の保護に使うかで、満足度がまったく変わる道具でもあります。
弱点は三つあります。片手で巻くため毎回同じ位置に決まらず、素振りを数回すると緩んできて締め直しが要ります。フォローで手首をこねる癖のある人は、抑えた動きの行き場が親指に出て、付け根が痛くなることがあります。そして左手首を占領するので、腕時計型の距離計を使っている人は併用できません。
定番なのにおすすめに入らなかったモデル
ミズノ ダブルグリップの旧モデルは、握力を下げる効果そのものは十分ですが、内側の滑り止めがなく軸1(滑り・ズレ)で劣り、掌底の破れが集中して軸3(掌底の消耗)でも劣ります。同じ名前の2024世代を選ぶだけで両方が改善します。
キャスコ DNA SHEEP、ダンロップ SRIXON GGG-S016、フットジョイ PURE TOUCH・StaySof・Weathersoft、タイトリスト TG39・TG77といった天然皮革のモデルは、軸1(滑り・ズレ)で外れます。装着感の良さは本物ですが、濡れて乾いた後に硬くなり、次のラウンドに持ち越せません。晴天専用と割り切れるなら候補になりますが、それなら同じ条件でより軸2(力み)に効く強革0.8を選んだほうが目的に沿います。
キャロウェイ HYPER COOL、ブリヂストン Ultra Grip CoolとWarm、ミズノ サーマグリップなど温度特化のモデルは、冷却も保温も甲側の仕様です。掌側の摩擦、内側のズレ、掌底の消耗のどれにも関与しないため、軸そのものに乗ってきません。快適さの製品であって、スライス対策の製品ではありません。
フットジョイ Nano Lock Tour(FGNT24)は、力まず握れるという手応えでは有力でした。ただし同じ製品に、内側が滑るという指摘と、掌の小指球部分が厚くないという指摘が同居しています。軸1でも軸3でも、同社のナノロックツアーに一歩譲ります。
ブリヂストン TOUR NANOは、外側の濡れ対応は問題ありませんが、グローブの中で手がずれるという弱点が指摘されており、軸1(滑り・ズレ)で下がります。これが素材共通の性質なのか、この製品の仕上げによるものかは判別できていません。
ミズノ ダブルグリップ クールは、滑り止めを人差し指の付け根まで延ばすという軸3(掌底の消耗)に効きそうな設計を持っていますが、それが効いているという評価が出てきません。加えて甲側が冷却素材の夏専用です。
Snell Golf My Tour Gloveは軸1も軸2も優秀ですが、握る力が強い人には向かないことが製品側から明示されています。スライスに悩む人は握り込む人なので、相性が逆になります。
GloveGuruGolf、FIT39、ブリヂストン TOURSTAGE、ミズノ T-ZOIDなど、価格と露出で目に入る低価格帯は、軸2(力み)の手がかりがなく、掌底の補強もないため軸3(掌底の消耗)も取れません。安さは魅力ですが、この記事の目的には届きません。
タイトリスト Perma-Softは日本語での使用報告がほとんどなく、海外では汗に弱いと評価されています。軸1(滑り・ズレ)で外れます。
ミズノプロは上質なツアー向けですが、手首の可動域を広げる設計思想で、軸4(手首)とは逆を向いています。
買ったあとに効いてくること
交換の周期そのものが性能の一部です。摩擦で解くタイプは、摩耗とともに効きが落ちます。特に千円台のモデルは、一枚を長く使うより短い周期で替えるほうが、軸1(滑り・ズレ)も軸2(力み)も保たれます。数枚を回して、汚れたら練習用に格下げしていく使い方を勧めます。厚みで解く強革0.8だけは例外で、こちらは減るまで性能が変わりにくいので、長く使う前提で構いません。
グローブより先にクラブのグリップを見てください。摩擦は相手あっての話です。表面が劣化してツルツルになったグリップには、評判のいいグローブでも噛みません。何年も替えていないなら、まずそちらを替えたほうが安く早く効きます。
サイズを外すと、せっかくの滑り止めが手の中のズレに化けます。たるみが出た瞬間に、外側の摩擦は意味を失います。天然皮革は伸びる前提で小さめ、合成素材は伸びない前提でジャスト、というのが基本です。そして厚い革ほど伸びないので、サイズの失敗を後から取り返せません。
濡れた後にやるべきことは、素材によって逆になります。天然皮革は陰干しを怠ると硬くなり、次が使えません。合成素材や繊維系は、洗うと摩擦が戻るものがあります。同じ「濡れたあと」でも、片方は乾かし方に気を遣い、もう片方は洗ってしまうのが正解です。
手が汗ばむ人は、右手も一緒に考えてください。左手だけ対策しても、右手が滑って強く握ってしまえば、力みという結果は同じ方向に出ます。両手セットの製品が存在するのは、この理屈からです。
そして、迷い始めたら原因の切り分けを先にやってください。グローブを何枚も試す前に、軸4(手首)の器具で一度チェックしたほうが早い場合があります。原因が手首の折れにあるなら、グローブ選びは何度やっても空振りに終わります。逆にそこが白だと分かれば、あとは軸1から軸3の範囲で決め打ちできます。
本記事は、公開されているゴルフグローブのユーザーレビューをもとに、当編集部が独自に評価傾向を分類・集計・分析したものです。記事中の比率・分類はすべて当編集部による独自集計であり、個々のレビュー本文の転載は行っていません。効果には個人差があり、特定の商品の性能を保証するものではありません。価格・評価は執筆時点のものです。